オンライン国語教室・小論文教室オトモです。
このブログでは
中学で長期入院→高校中退→東大→国語専門塾と個別指導塾の運営
を経験した私、あもれが、
独学を効率的に進めるための学習方法を提案しています!
自力で資格試験や大学受験に挑戦したいと考えている人、
なるべくお金や時間をかけずに新しいことを学びたい人、
に、少しでもお役に立てるように解説していきますので
よろしくおねがいします!
記憶を定着させよう!
独学を失敗してしまう原因って、
前回お話した「飽き」もあるかと思うのですが
基本的な知識を、そもそも覚えられない
その場でわかったと思ったことでも、すぐ忘れてしまう
ということもありますよね。。。
記憶を定着させるのって難しい。
そして難しいなー、とアタマを抱えている時間が長いほど、
当然飽きてしまう可能性も高くなります。
鉄は熱いうちに打て!
というわけです。
そこで、今日からは、
勉強した内容を忘れず、知識を脳内に保管する方法
について、ご提案をしていきます!
今日はまず、前提となる脳の仕組みについてのお話です。
記憶される情報と、忘れてしまう情報の違い
あたりまえなのですが、
どんな生き物の脳も、その容量は限られています。
これまで経験してきたことをすべて、記憶していたら
情報量が多くてパンクしてしまいますもんね。(思い出したくないようなこともたくさんありますしね)
そのため、容量オーバーにならないように
「それほど大切でない情報は、長期保存しなくていいやー」と、
要らない情報を自動削除してくれる機能が、動物の脳には備わっています。
「それほど大切でない情報」
とは、つまり
「生存に影響しない情報」
です。
「1945年に第2次世界大戦が終結した」という情報よりも
「ナイフの刃を素手で握ると怪我をする」という情報のほうが
直接、生存に関わる情報なので優先して記憶されるというわけです。
生きていくために必要な情報は人それぞれ
ただ、人間の社会は他の動物よりも複雑なので、
一見、生存に関わらなさそうな情報が
役に立ったり、人生を楽しませたりしてくれることもありますね。
実際に、先ほどの第2次世界大戦の例も
それを全く知らないという人よりも、
戦争についての知識が多い人の方が、
もしも戦争が起きた場合に生き残る可能性はあがるでしょうし、
戦争を防ぐための行動ができる可能性も高くなるはずです。
さらには、もっと詳細に戦争の歴史を学び、
戦勝国と敗戦国におけるチーム戦略の立て方の違いを比較したり、
戦時中の危機的な状況における心理状態とその脱却方法を学んだならば
会社や学校での、日常的な生存戦略にも応用できそうです。
また、人間は地球上の実にさまざまな環境で生きているので、
どの知識が生存に役立つのかは人によって違います。
山間部に生きている人にとっては、ナイフの使い方や戦争の歴史よりも
雪山で体温を上げる方法や毒キノコと食用キノコの見分け方
のほうが、生存に役立つかもしれません。
脳と脳との話しあい・・・
そこで人間の脳は、
- その人にとって、どの情報が必要で、どの情報が不要かの判断をし、
- そのうえで必要な情報は記憶、不要な情報は削除し、
- 個々人の脳が、その人の生きている環境で生存に有利なものとなるよう、日々バージョンアップさせ続けていく
という自動更新機能をもっているのです。すごいですね\(^o^)/
こういった脳の可塑性に期待して、
新しい情報を記憶させようとするのが「勉強」と言われる行為です。
しかし、
本人が一生懸命勉強して、「これを記憶したい!」と思った情報でも
脳に「うーん、これは生存には要らないね!」と判断されて、
消されてしまうことがあります。
これが、「忘れる」という現象です。
じぶんの脳なのに、じぶんの脳の思い通りにならない。
なんとも不思議ですね・・・
つまり、ある情報を記憶として定着させるには
「この知識は、わたしが生きていくために必要なものだ!」
と、脳にアピールするための方法を知ることが大切です。
自分の脳をつかって、自分と対話をする
という、
まさにひとりずもう・・・!
これが独学のコツです。
「意味記憶」「エピソード記憶」の違いを理解する
さてさて、いったん少し話が逸れますが
「記憶にはいくつかの種類がある」ことはご存知でしょうか。
まずはそのなかでもとくに、新しいことを学習する際に役立つ
「意味記憶」と「エピソード記憶」
の違いについてお話していきます!
「意味記憶」とは、一般的な知識や情報に関する記憶です。
たとえば、わたしたちが「りんご」という言葉を聞いた時に、
赤くて丸い果物を思い浮かべることができるのは、
単語とその概念の示す情報を「意味記憶」として脳内に保管しているからです。
一方、「エピソード記憶」とは、個人的な経験についての記憶です。
「今朝、おいしいコーンスープを飲んだ」
「十年前、この学校に通っていたなあ」
というのは「エピソード記憶」というわけです。
この2つの記憶について理解し、使い分けながら学習すると
覚えたいことをしっかりと記憶するコツがわかってきます。
年齢に応じて、脳の性質も変わる。
「意味記憶」「エピソード記憶」の違いがわかったところで、使い分けのコツをお話していきます。
人間の脳はだいたい10歳までは「意味記憶」の方が得意なのですが、
大人になるにつれ「エピソード記憶」のほうが得意になってくることがわかっています。
たとえば
小さな子供が、数回聴いただけのCMソングをしっかりと覚えて口ずさんでいる・・・
ということ、良くありますよね。
これができるのは、幼い子どもほど受け取った情報をそのまま記憶する、
いわゆる「丸暗記」が得意な脳を持つからです。
反対に、小さな子どもに「今日、幼稚園で何をしたのー?」と聞いても忘れてしまっていることが多いのは、
エピソード記憶が苦手だからです。
幼少期の学習では「意味記憶」を重視する
このような、幼少期の「意味記憶」優位の性質を活かした学習法として、
たとえば、小学2年生でリズムに合わせてかけ算を丸暗記する「九九」がありますね。
大人になってから、九九を全部丸暗記しようとするのは大変ですが、
この時期に、かけ算の基礎を「意味記憶」として脳内に保存しておけば、
その後の計算がぐんと楽になります。
脳の得意分野を活かした学習法なので、
負担なく楽しく学べるのも良いですよね。
また、幼稚園などでよく「ABCの歌」を歌う機会がありますが、
これも「意味記憶」が得意な時期に、
アルファベットを丸暗記させてしまう教育法です。
いったん「意味記憶」として脳内保存された情報は忘れづらいので、
この記憶が、その後の人生で英語を学ぶ時に活かされます、
長期的に考えても効率の良い教育ですね。
大人の発言を聞いて、子どもの国語力は育つ
このように、年少の子供たちは
「意味や目的を考えず、感覚的に暗記する」ことに驚くほど長けています。
この性質を意識した学習例をさらに1つ、ご紹介しましょう!
とある小学生のお母さんから・・・
「うちの子は国語が苦手なので、語彙を増やすために毎日辞書を1ページずつ読ませているのですが、ぜんぜん覚えられないんです。」
という相談を受けたことがあります。
辞書を読むことを強制されるのは誰でも苦痛なので、
この学習法が良くないことは言うまでもありませんが、、、
そうでなくとも、辞書や新聞のように論理だった文章は、
幼い子どもの記憶には残りにくいものです。
これは、順序だった出来事を記憶する「エピソード記憶」が苦手であるという、この年代の子どもの脳の性質と関連しています。
では、国語が苦手な小学生の子どもに語彙を増やしてあげたいと願う先程のお母さんは
辞書を読ませる代わりに何をしてあげればよいのでしょうか。
ここまでの説明を読んでくださった方は、もうおわかりですね。
「意味記憶」を利用するのです。
たとえば
「あ、あそこにお花がさいているねー」
と言いたい場面で
「あ、電柱のわきに瑠璃色のお花がさいているねー」
と言ってみる、
昨日までは
「今日は肉じゃがよー」
と言っていた場面で、
「今日の晩ご飯は肉じゃがを作ったよー」
と言ってみる、
というイメージで、近くにいる大人が、会話で使う語彙や言い回しのバリエーションを増やすように意識すると良いのです。
これを続けていると、子どもは言葉をぐんぐん覚えてくれます。
(ちなみに大人が「瑠璃色」がどんな色なのかググってみたとしても、たいていすぐに忘れてしまいます。。かなしい。)
ちなみに私は国語教室で小学生と雑談するとき、
大人に同じことを伝える3倍くらいの言葉を盛り込んで喋ります。
(喉が疲れます)
忙しくて、あまり家でお子さんと話す時間が無い・・・という保護者の方は、
留守宅にスマートスピーカーを置いておくだけでも、
効果があるのではないかと思います。
わからない言葉の意味をスマートスピーカーに質問し、
音声で解説を聞く習慣さえつけておけば、
一度聞いた内容は比較的忘れにくいからです。
ちなみに、人間には「幼児期健忘」といって、だいたい3歳以前に経験したことを全く覚えていないという性質があります。
これは、この時期に覚えなければならない情報(歩き方・食べ方・話し方など)があまりに多いため、
「エピソード記憶」ができないからだと言われています。
年齢によって脳の性質が変わり、適切な学習方法も変わる。
子育て中の方は、覚えておくと良いかもしれません!٩(๑´0`๑)۶
大人は「エピソード記憶」が得意。
一方、10歳をすぎる頃には「意味記憶」の方が不得手になってきます。
読んだり、見たりして知った情報よりも、経験したことの方が記憶に残りやすい。
普段から、脳のこのような性質を意識していると、忘れずにいたい情報を、意図的に記憶することに役立ちます。
たとえば、日本の地名を覚えたいとすれば、
教科書や地図を何度も読み返して記憶を試みるよりも、
友達と桃鉄をやったほうが記憶に残りやすく、
さらには実際にその地に旅行に行くほうが記憶に残ります。
もっと言えば、その地について事前に本やインターネットで情報収集をしてから行けば、かなり記憶に残ります。
この時、「地名を覚えること」を目的とするのであれば
大切なのはインターネットで調べた情報の質よりもむしろ
わざわざ調べたという経験です。
中学生以上の人が、覚えておきたい情報がある時は
「経験と同時に記憶すること」を意識しましょう!
まとめ
今日は、人間の脳の性質について
- 「生存に役立つ情報」を優先に記憶し、そうでない記憶は忘れていくこと
- 幼児期には「意味記憶」、それ以降は「エピソード記憶」が得意であること
についてご説明しました。
この2つの性質をしっかりとアタマに留めて応用していくことが、
独学成功のコツです!
といっても、なかなかイメージが湧きづらいかもしれないので、
次回以降の記事ではさらに「エピソード記憶」を利用した具体的な学習方法を提案していきます(*^^*)
ではまた!